アットプレス
このたび、一般社団法人応用脳科学コンソーシアム(所在地:東京都千代田区、代表理事:柳田 敏雄/岩本 敏男)は、国立大学法人東京大学 大学院総合文化研究科 酒井研究室(東京都目黒区、酒井 邦嘉 教授、専門:言語脳科学)、株式会社NTTデータ経営研究所(東京都千代田区、代表取締役社長:山口 重樹)、日本紙パルプ商事株式会社(東京都中央区、代表取締役社長 社長執行役員:渡辺 昭彦)、公益財団法人 日本漢字能力検定協会(京都府京都市、代表理事 理事長:山崎 信夫)、株式会社日本能率協会マネジメントセンター(東京都中央区、代表取締役社長:張 士洛)、株式会社パイロットコーポレーション(東京都中央区、代表取締役社長:藤崎 文男)と共同で、筆記と読書の関係性を科学的に検証する調査を行いましたので、
その結果を発表します。
※藤崎 文男の「崎」は立つ崎(たつさき)が正式表記。

1. 発表のポイント:
◆大学等の講義内容の記録について、記録しないと回答した人は全体の10%に上り、日常的な予定の管理について、紙または電子機器に記入することがないと答えた人は全体の24%に上りました。一部の学生で書くことが習慣化していないという実態がうかがえます。
◆日常で本や新聞・雑誌を読む時間に関して、いずれも普段読まないと回答した人は全体の20%に上りました。日常的に紙の本を読むと回答した人でも、その読書時間は1日あたり40分程度にとどまっており、十分とは言いがたい状況です。
◆日常的に本や新聞・雑誌を読む人の方がより多様な場面で書く傾向にあり、多様な場面で書く人の方が本や新聞・雑誌をより長時間読む傾向がありました。また、講義内容を記録する人や、本や新聞・雑誌を普段読む人のほうが国語の読解問題の成績が高くなりました。つまり、書くことと読むことの累積効果によって、読解力が高まる可能性があります。

2. 発表概要:
一般社団法人応用脳科学コンソーシアム(以下、CAN)の共同プロジェクト「手書き価値研究会」は、全国の18-29歳の学生(大学生が大半ですが、大学院生と短大生を含みます)、計1,062名を対象として、調査「書字と読書における使用メディアについてのアンケート」を行いました。調査期間は、2025年の3月から8月までです。今回は学生を対象としましたが、高校までの学習経験がある程度まで反映されていると考えられます。
「書く」ことについては、大学等の講義記録、および日常における予定管理に分けて、用いる媒体(紙、電子機器)とその使用頻度等を調べました。「読む」ことについては、日常において本や新聞、雑誌等を読むときに用いる媒体や時間を調べました。また、講義記録と予定管理だけでなく、日常的なメモや、ブログ・SNS・日記等を書くことを含めて、読むこととの関連を解析したところ、両者が国語の読解問題(以下、国語問題)の成績に影響することが明らかになりました。
今回の調査は、CANが手書きの価値を追究していく前提として、対象となる学生の実態を把握するという位置付けです。調査の実施にあたっては、特に書くことと読むことの関係性について、電子機器の使用がもたらす問題点を含めた現状の分析が重要であると考えました。
なお、東京大学は「手書きの価値を示す脳機能」という題目でCANからの学術指導依頼を受諾しており、本調査の作成と実施、および評価の議論を共同で行い、このたび研究成果として発表するものです。

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